PESCA ZINE

PESCA CRAFTSが
生まれるまで。〈前編〉

草加ネジ 代表 /
PESCA CRAFTSオーナー 英 利昭
ベリーズ 代表 /
ルアービルダー Kou Eishu

SCROLL

スプーンルアーを自分の手で叩いて作る、日本初のスプーンルアー製作キット「PESCA CRAFTS(ペスカクラフツ)」。
そのオーナーである草加ネジ代表英と、プロダクトの監修を行うルアービルダーKouがPESCA CRAFTSの開発、発売に至るまでの経緯を語ります。

SCROLL

2人の出会い

−現在タッグを組んでPESCA CRAFTSを企画、製造しているが、二人の出会いは?

僕がKouさんに出会ったのは6年くらい前ですね。
出会ったあと、PESCAというスプーンルアーブランドを一緒につくり、
現在取り組んでいるPESCA CRAFTSにつながっています。

Kou

出会ってから、もうそのくらい経ちますか。

出会いに関してですが。僕がフライフィッシングを始めたタイミングで、キャ
スティング練習をするのに丁度いい管理釣り場を探していたんです。その時偶
然見つけたのが、kouさんが運営する群馬県沼田市の管理釣り場ベリーズ。な
ので、お客さんとしてベリーズに行ったんですよ。

初めて行った時、Kouさんが管理棟の中でルアーを作っている姿が目に入って、
フライフィッシングよりそっちが気になっちゃって。話しかけました。

Kou

作業をじーっと見ていて、いきなり声かけてきました。笑変わった人だなって
思ったんですが、謎のパッションがあって。話をしている中で私がスプーンル
アー作りたいんだよねって話をしたら、社長が「うち金属加工やってるんで、
作れますよ!」って。確か埼玉県草加市のあたりでルアーを作っている金属加
工会社があったなという記憶があって、話を進めてみようと思って、後日連絡
を入れました。

−草加ネジは、ルアーを作ったことがあった?

なかったです。でも作れるとは思ったんで「作れます!」って言っちゃったんですよね。笑

Kou

結果、後でしまった…ってなりましたね。後日Kouさんからプロトタイプが送
られてきたんですが、当時の草加ネジでは、作れなかったんですよ。できるっ
て言ってしまったのでどうにかしないといけないと思い、焦りました。なん
とか設計まではできたんだけど、原型を作れなくて。原型制作をお願いするた
めに大阪の工場にお願いしにいくのですが、一見さんはお断りで。縋るような
思いで、インターネットでひたすらできるところを探しました。検索サイトで
数百ページくらい進んだところかな、ルアーづくりをしたっていうブログ記事
を見つけて。埼玉県の川口市の刻印屋さんだったんですけど、そちらに飛び込
んでお願いしたら、作ってくれることになりました。

Kou

ガッツありますね。

やれるって言っちゃったんで。ルアーを作る体制は無事整ったんですが、そこ
からも大変で…。想像していた以上にルアーづくりは難しいし、Kouさんのこ
だわりが強くて。

Kou

社長に図面ではなくプロトタイプを渡して、そこから図面を作成してもらい、
試作を作って、持ってきていただきました。何度も。

アナログなやり方でしょ?なんで、そんなやり方をしているかというとルア
ーは工業製品として作ってはいるけど、趣味で使う嗜好品なので、タッチの差
で許容できない部分があります。数値上では同じでも切断面やアールの付け方
など、そこのフィーリングが擦りあっていかないと作れないので、ニュアンス
における共通認識を築くために、あえてアナログな進め方で開発をしています。

データで渡すこともできるのですが、やっていないですね。

何度もKouさんのところに試作サンプルを持って行っては、違うね。ってなっ
て、正直ちくしょう!ってなる時もありました。笑 でもKouさんが作りたいも
のがあってそこに妥協がないので、それを形にするんだって想いで食らいつい
ていきましたね。もう徹底的にやろう、と。妥協点を探ると良いプロダクトに
はならない
ので、簡単に諦めないということは大切にしているし、苦ではない
ですよ。それが普段の僕の仕事のスタイルでもあるんで。

Kou

ありがとうございます。私も草加ネジの工場に足を運ぶのですが、社長自ら工
場に出て、工員さんと意見ぶつけ合って、試行錯誤されている姿を見て、素晴
らしいなって思いましたね。熱いところでものが生まれているというところを
見るだけで信頼に値しますよ。そうしてようやく最初のルアーが完成しました。

−そこで、タッグが出来上がった?

Kou

まだですね笑
2つ目のルアーは、結構難しいフォルムに取り組んだんですよ。
難易度が高いなと思いつつも、依頼をしたらスムーズに形にすることができた。
1つ目のルアーを苦労して生み出したということもあり、感覚がシンクロして
る感じがありましたね。
それで、はれて、タッグになった感じがしました。そ
こからは、様々なタイプのスプーンルアーの開発を共にしてきました。

あれは、やってやりましたね。そこから色々なルアーを一緒に作れて楽しいで
すよ。それでも、データで図面欲しいなって思うときはありますよ?

Kou

ふたりの関係性

−お互いどんな存在として見ている?

お兄ちゃんだよね。ここしかできない弟を助けてくれるお兄ちゃん。Kouさん
は釣りとビジネスについて知見が深い、僕はそう言ったところはわからないん
だけど、ものは作れる。そう言ったリスペクトを互いに持ちながらない部分を
補い合ってる関係性だからいい
んだろうなって思います。

Kou

社長にそう言ってもらえて嬉しいですよ。この質問難しいですね。
なんだろうな。

社長は、一生懸命何かに打ち込んでいる時の自分を鏡で見ているような感じ
するかな。それが一緒にやっていて、シンクロする理由かもしれないですね。
等身大で付き合える相手という感じです。

あらためて、そういう人に出会えることってすごく幸せなことだと思っていて。
同じ仕事やスポーツやっている場合だとあるかもしれないけど、普段別の仕事
している人で、そういった人に巡り出会えるっていうことは滅多になくて、幸
運だなって思いますよ。

あの時、声かけてよかったなぁ。

Kou

これからもよろしくお願いします。

後半では、PESCA CRAFTSの魅力について、ふたりが語ります。
ぜひご覧ください。

PESCA CRAFTSが生まれるまで。〈後編〉

PROFILE

草加ネジ 代表取締役社長 /
PESCA CRAFTSオーナー

英 利昭

埼玉県草加市にてSUS、SSを主としたフックボルト、アンカーボルト、Uボルトの設計・製作を行う株式会社草加ネジを経営。年間5000を越える製品を製作。
趣味は、釣り,古着,車。

(株)F.P.B.代表 取締役 /
ルアービルダー

Kou Eishu

群馬県沼田市に拠点を置く(株)F.P.B.で管理釣り場フィッシングポイント ベリーズと、ルアービルダーとして自社ブランドFPB LURE'Sをはじめとしたルアーの企画開発を行っている。
フィッシングポイント ベリーズ