PESCA ZINE

PESCA CRAFTSが
生まれるまで。〈後編〉

草加ネジ 代表 /
PESCA CRAFTSオーナー 英 利昭
ベリーズ 代表 /
ルアービルダー Kou Eishu

SCROLL

スプーンルアーを自分の手で叩いて作る、日本初のスプーンルアー製作キット「PESCA CRAFTS(ペスカクラフツ)」。
そのオーナーである草加ネジ代表英と、プロダクトの監修を行うルアービルダーKouがPESCA CRAFTSの開発、発売に至るまでの経緯を語ります。

SCROLL

PESCA CRAFTSができるまで

−PESCA CRAFTSは、どういったキッカケでできたプロダクトなのか?

まずはPESCAブランドについてお話したいんですが、前編でお話したように
Kouさんとの出会いからスプーンルアーを作るようになって、一緒に作ったり、
他社のOEM製造をおこなったりして段々と技術力が上がってきた中で、「も
うそろそろオリジナルブランドを作ってもいいんじゃないか」
ってKouさんか
らの提案をもらったんですよ。2019年くらいかな。それが、PESCA CRAFTS
の母体になっているスプーンルアーブランドのPESCAです。

Kou

そうですね、十分技術力があるっていうのももちろんですが、草加ネジって
to B向けの工業製品を作る会社なので、社員さんも自社商品があった方が、士
気が上がるんじゃないかと思って提案しました。その提案に、社長はいつも通
りの熱い想いで応えてきて、あっという間に出来上がりました。うちのルアー
作っている時より早く作ってきたよね?笑

確かに笑 Kouさんの提案から始まったオリジナルブランドのPESCAをこれまで
やっていく中で、2021年にプロダクトをさらにブラッシュアップしようと思っ
たんですね。

その時にKouさんから新たに提案を受けたのが、このPESCA CRAFTSでした。

Kou

うちはハンドメイドのルアーブランドをやっていて、管理釣り場に来てくださ
るお客さんにルアー作り体験をしてもらうことが、これまでも結構あったんで
すよ。その上で、ルアーではなくて、ルアーづくりを商品化するのは面白いん
じゃないかと思ったし、ものづくりに情熱がある草加ネジがやるべきプロダク
トなのではないか思って提案しました。あと、草加ネジの経営理念につながる
と思ったんですよ。だから、社長の会社じゃないとお薦めしないです。

ありがとうございます!草加ネジは「創造力と柔軟性を持って、日本のものづ
くりを守る」という企業理念を掲げているのですが、これは既存の製造に留ま
らず、常に挑戦していくことが、日本のものづくりがまた元気な状態になるこ
とにつながっていくと信じているからなんです。そういった意味では、
PESCA CRAFTSはプロダクトを作って販売するということを超えて、釣りの
楽しみ方を広げるといった、これまでとはまた違う挑戦になることにワクワク
しましたね。

−PESCA CRAFTSを作り上げる上で、苦労した部分は?

Kou

僕はないね。いつも言いたいこと言って、社長が形にするんで、社長の方が苦
労したところあるんじゃない?

SPOON BUILD BASE(台座)の凹み部分の構造ですかね。アール(曲線)を重ねて、
柔らかさを出していかないと、ルアーに傷がついちゃうので、その点は試行錯
誤しました。でも、技術者が色々と理解してくれて、うまいこと形になりました。

Kou

やっぱり、なんとかしてくれるんですよ。社長は。これまで商品化を諦めたも
のもありますが、その時は何十社も社長がいろんな技術者に掛け合って見てダ
メだった時で、中途半端なものを出すなら諦めようっていくことでやめてきた。
2人で一緒にやってできないならやらない、2人で満足いくものだけを出そうって。

あと、僕もできないときは、できないっていうしね!

Kou

そうしたら、こうやったらできるんじゃない?って、言うけどね笑

そしたらまた試す感じですね。こんなやりとりを何ターンもします。

Kou

できないって言ってた構造も、社長が夜中作業して、朝方「できたんで、今か
ら持っていきます!」って持ってきた時もあったよね。

やり始めたら、時間とか休日とか、関係ないですよね。
やりたくてしょうがないから。

Kou

こんな熱量で走る人と仕事していて、僕が熱量低く仕事することなんてできないですよ。

−PESCA CRAFTSの魅力は?

Kou

まずは釣りの魅力についての話からしないといけないですね。
釣り人って魚を釣りたくてしょうがない人種だと思います。と言うのは、魚を
いっぱい獲りたかったら網を投げたり、電気を流したり、いろんなやり方があ
るわけじゃないですか。魚を釣りたい人って、自分の思い描く形で、魚に巡り
合いたいんだと思うんです。
そして、結果巡り会えなくても、それが悪いわけ
ではない。まずその理解がないとPESCA CRAFTSに込められた想い、感情は
理解できないかもしれないですね。

そうそう!釣れる、釣れないだけじゃないんですよね。釣りの楽しさって。
あと、僕の立場から語らせてもらいますね。

ちょっと大きな話かもしれないけど、ものづくりをしている人間として、高度
経済成長期から続いてきた日本のものづくりというものが、社会情勢も相まっ
て元気がなくなってきているし、技術継承がなされずに技術が廃れてしまって
いく現状を目の当たりにしています。それが悔しいなという想いが前からあっ
て。さっき言った、草加ネジの企業理念は、そういった状況を変えていきたい
という思いも込めています。

なので、PESCA CRAFTSに期待しているところって、ルアーを叩いてもらって、
ものづくりの原点的な部分に、気軽に触れてもらえるところですね。ルアーづ
くりを通して、ものづくりの楽しさを再認識してもらえると、今後の日本のも
のづくりがまた元気になっていくことに繋がっていくんじゃないかなと思って
います。

Kou

なるほど。今ってネットに簡単にアクセスできるから、みなさん下調べをしっ
かりしますよね。数値情報や比較情報に左右されて動きすぎているんじゃない
かって、ときどき思います。用意されているものの中での、最適解を探すこと
に慣れてしまっている感じ。一方で、自分でゼロからからものを作ることって
いうのは、柔軟な発想や個性を生み出す
んじゃないかなと思います。そう言っ
た点の面白さや快感をPESCA CRAFTSを通して感じ取ってもらいたいですね。

あと、ものづくりって完成した状態を想像する力が必要になるのですが、仮に
ずっと釣りを続けなくたって、その人にその能力は残っていくと思うんですね。
釣りからちょっと話外れてしまったかもしれないですが、そういった部分の期
待はあります。

そう言った意味では、メインターゲットなんてないんです。まずは、叩いてみ
てよ!ものづくりの瞬間に生まれる何かを感じ取ってみてよ!って思います。

Kou

すごく先のところの浪漫を見てPESCA CRAFTSを作っています。
僕らはそこにワクワクしていますし、そんな作り手側の想いや遊び心みたいな
ところも、ぜひ感じていただけたら嬉しいですね。

−今後の展望は?

先にお話ししたような想いがあるので、今回の商品だけではなく様々な形で展
開していきたいと思っています。釣りの過程に個々の個性や工夫が入っていく
為のものづくり、さらにはそういった価値観や文化づくりをしていきたいです。
そして、それをやっているのが町のネジ屋だっていうのは面白いなって思いますよね。

Kou

ものづくりが本当に好きな人って、初めて作るものにワクワクした経験をみん
な持っていると思うんですね、その本来持っていた感情を刺激するプロダクト
を今後も出していきたいですね。

ワクワクしますね。

PROFILE

草加ネジ 代表取締役社長 /
PESCA CRAFTSオーナー

英 利昭

埼玉県草加市にてSUS、SSを主としたフックボルト、アンカーボルト、Uボルトの設計・製作を行う株式会社草加ネジを経営。年間5000を越える製品を製作。
趣味は、釣り,古着,車。

(株)F.P.B.代表 取締役 /
ルアービルダー

Kou Eishu

群馬県沼田市に拠点を置く(株)F.P.B.で管理釣り場フィッシングポイント ベリーズと、ルアービルダーとして自社ブランドFPB LURE'Sをはじめとしたルアーの企画開発を行っている。
フィッシングポイント ベリーズ